子宮内避妊器具(以後、IUD)は、子宮腔内に合成樹脂(ナイロン、硝酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)で作った小さな器具を挿入して、受精卵の着床を阻止して避妊を行う方法です。

 

以前は輪状のものが用いられたので我が国ではいまだにリングと呼ばれることが多いが、現在は様々な形のものが使われているので、IUD(intrauterine contraceptive devices)と呼ばれています。IUDが考案されたのは1930年代で、1960年代から広く使われるようになりました。

 

IUDで避妊できる仕組みについては、子宮内膜に変化を起こさせて、受精卵の着床を阻止すること以上に詳細な仕組みがわかっていません。IUDを挿入しても、間脳・下垂体・卵巣系には変化はなく、排卵も正常に起こります。

 

現在では、子宮内腔にあるIUDによって、内膜に変化が起き、それが受精卵の着床に都合悪く働いて、これを妨げるということしかわかっていません。

 

IUDの利点と欠点

子宮内避妊器具(IUD)の利点

  • 避妊効果が比較的高い
  • 性行為と無関係に避妊が実行可能
  • 全身的な影響はほとんどないので授乳時にも使用可能
  • 一度医師を訪れるのみで、継続的な避妊法の実行は不要
  • 女性の意志のみで実行可能

子宮内避妊器具(IUD)の欠点

  • 医師に挿入を依頼する必要がある
  • 挿入時・除去時に多少の痛みや不快感を伴う
  • 自然に脱出したり入ったままで妊娠したりする可能性がある
  • 副作用(主として出血)の可能性がある
  • 未妊婦には適当ではない

 

IUDの副作用

疼痛(ズキズキする痛み)

挿入直後から24時間ぐらいは下腹部不快感、鈍痛がありますが、アスピリンの投与程度で軽快して痛みが消えます。挿入後、月日が経過してから痛みがある場合は、IUDが挿入時に変形したままになったか、脱出あるいは感染を起こした可能性がありますから、検査を受ける必要があります。

出血

月経と関係のない不正出血、月経持続期間の延長、月経出血量の増加などの形で現れます。月経出血量の増加が長期間にわたると鉄欠乏性貧血を起こすこともあります。出血の治療にはインドメタシンなどのプロスタグランジン合成阻害剤が有効なこともあります。不正出血があまり長期間持続する場合には除去します。

感染

IUD挿入中には、子宮内膜炎や卵管炎などの骨盤内感染症にかかりやすいことが認められています。性行為の相手が複数以上の場合にリスクが特に高くなります。明らかな感染のために付属器炎などを起こしているものは、抗生剤で治療し、重傷例はIUDを除去します。

 

IUDの使用禁忌

次のような場合はIUDを使ってはいけません。

  • 子宮体部・頸部の悪性疾患
  • 原因不明の性器出血
  • 妊娠の疑い
  • 急性骨盤内感染症
  • 重症貧血
  • 月経過多症
  • 骨盤内感染症の既往
  • 子宮腔の変形(筋腫・先天異常)
  • 子宮頸部の反復感染症
  • 性行相手が複数の場合
  • リウマチ性心疾患
  • 免疫抑制療法中
  • IUDの挿入時期
  • 分娩後

産褥期間中は子宮が小さくなり、子宮壁も薄くなっているので、6週間以上経過してから挿入します。産後第一回目の月経まで待つ必要はありません。

  • 自然流産・人工妊娠中絶後

最初の月経時に挿入するのが普通ですが、子宮内容除去術の直後に挿入しても特に害はありません。

  • その他の場合

分娩や流産に関係なく挿入する場合には、月経中か月経終了後一週間以内に挿入します。この時期には妊娠の可能性が無く、月経中なら出血によって子宮頸管が少し広がっていますし、挿入後の出血も月経出血と思われるので女性が心配しなくてすみます。

 

挿入期間

プラスチック製のIUDの場合には、副作用がない限りいつまでも使用でき、特に交換の必要はありません。日本では1~2年ごとにIUDを交換する方針があり、交換しないと子宮壁に食い込むあるいは除去が不可能になるという説が信じられています。

 

しかし、長期間交換しないと副作用率が高くなったり、除去が困難になるという医学的な事実はありません。現在のIUDには下部にナイロンの糸がついていて、これを引っ張れば簡単に除去可能です。

 

IUDの副作用や脱出は挿入後三ヶ月以内にもっとも起こりやすく、それらの例ではIUDを除去するので、年月が経過するにつれてIUDに適応した女性のみが使用し続けることになります。ですから、2~3年経過したという理由だけで交換する必要はありません。ですが、薬物付加IUDには交換時期があります。

 

薬物付加IUD

プラスチック製のIUDに銅線を巻き付けたもや、IUDに黄体ホルモンを付加し一定の濃度でしみ出すようにしたものなどがあります。このようなIUDを薬物付加IUD(medicated IUD)といいます。日本でも2007年に黄体ホルモン付加IUDが発売されました。